債務整理

任意整理

司法書士が債務者の代理人として貸金業者と直接交渉し、3~5年で債務を返済する和解をまとめます。
任意整理は法律に則った裁判などの手続ではないため裁判所に行く必要はなく、一般的に迅速に問題解決を図ることができます。ただし、債務額140万円以内である場合に限ります。

手続きの流れ

① 委任契約を締結する

手続きを説明し、納得のうえご依頼いただきます。

② 貸金業者に受任通知を発送する

委任契約を締結後、借入先の業者に通知をします。
貸金業者は、この受任通知を受け取った後は債務者本人に直接取立てをすることができなくなります。
受任後の貸金業者からの連絡は代理人として当方が受けます。

③ 取引履歴を入手し、法律上の利息で計算をして借金の額を確定させる

高金利を支払ってきている場合、利息制限法という法律で定められた利息で引き直し計算をすることにより、債務を縮減することができます。

④ 代理人として貸金業者と和解交渉する

減額した金額を、3~5年で返済するような和解案で交渉します。

⑤ 依頼者が貸金業者に対して返済を開始する

利息制限法に定められた利息
元本が10万円未満の場合 年20%
元本が10万円以上
100万円未満の場合
年18%
元本が100万円以上の場合 年15%
メリット

・ 受任通知を送ることにより、債権者は取立行為ができなくなります。
・ 自己破産のように、一定の資格(警備員や保険の外交員など)に就くことができないという制限はありません。

デメリット

・貸金業者から信用情報機関に事故報告され(いわゆる「ブラックリスト」に載る)、以後5~7年間は借入ができなくなる。
・将来の利息や損害金のカットは期待できますが、貸金業者によっては利息を請求してきます。 
・元本をカットしてもらうのは困難です。3~5年で返済することが難しい場合→元本を最大5分の1にカットできる個人再生手続を検討

過払い金返還請求

金融会社の計算だと借金(債務)が残っているが、利息制限法に定める利率で計算をすると、既に完済している状態になっていて、貸金業者の請求するままの金額を支払っていると、本来支払わなくてもよい金額を支払っていたことになります。
この、本来ならば支払わなくてもよかった金額を取り戻す手続きを過払い金返還請求といいます。

長期間にわたり消費者金融と取引を行っている方は一度ご相談ください。

個人民事再生

裁判所に申立を行い、原則として債務総額の20%(最低100万円)を3年(乃至5年)で完済していく手続きです。
住宅を所有し、住宅ローンを有している方は、住宅ローンを支払い続け、その他の債務のみ原則20%を支払うという形によって、住宅を所有し続けることができます。住宅ローンがある方にはメリットが大きい手続きです。
また、破産と異なり、負債が増えた原因が全てギャンブルの場合でも手続きをすることが可能です。

借金総額支払金額
100万円以上500万円未満100万円
500万円以上1500万円未満借金総額の5分の1
1500万円以上3000万円未満300万円
3000万円以上5000万円未満借金総額の10分の1

小規模個人再生 と 給与所得者再生

小規模個人再生の場合は、一定数の反対者が出た場合には、手続きが廃止されるのに対し、給与所得者等再生の場合には、貸金業者の意向いかんに関わらず手続きを進めることができることに大きな違いがあります。

給与所得者等再生の手続きは、貸金業者の意向を気にしなくてもよい反面、法で定められている可処分所得の2年分を最低限弁済しなければなりません。

手続きの流れ

① 債権調査完了後の相談

債務額特定までは、任意整理の①~③までと同じです。
協議の結果、破産の原因たる事実の生じるおそれがあり、かつ、将来において継続的にまたは反復して収入を得る見込みがある場合に民事再生の手続きに移ります。

② 個人民事再生申立書の作成

申立に必要な書類をそろえていただきます。また、申立書に記載が必要な事項についても聞き取りをさせていただきます。

③ 個人民事再生申立

裁判所に個人民事再生の申立てをします。

④ 個人再生手続開始決定

裁判所において手続きが相当であると認められた場合、再生手続きの開始決定が出されます。
官報に公告されます。

⑤ 債権者による裁判所への債権届出

開始決定が出ると、債権者から債権届けがなされます。

⑥ 再生計画案の提出

再生が認可された場合、どのように支払って行くかという案を裁判所に提出します。

⑦ 書面による決議(小規模個人再生手続の場合)

債権者からの決議の結果、議決権者総数の半数に満たず、かつその議決権の額が議決権者の議決権の総数の2分の1を超えなければ、再生計画案の可決があったものとみなされます。
官報に公告されます。

⑧ 再生計画案の認可決定

官報に公告されます。

⑨ 再生認可決定

⑩ 支払い開始

提出した再生計画案に基づいて支払いをします。

メリット
  • ・法の定める要件を満たしていれば、住宅を守りながら、債務の減額をはかることができる。
    (マイホームを手放さなくてもよい)
  • ・将来の利息をカットして分割払いができます。
  • ・破産のような資格制限がないため、再生手続きを選択しても職業上の制限を受けることは無い。
  • ・破産手続きにおいては免責不許可事由(ギャンブル・遊興費等の浪費)においても手続きをとり、
     借金を圧縮することができる。
デメリット
  • ・他の手続きと同様、事故情報になってしまい、今後数年間は借入ができなくなる。
  • ・安定した収入のある人しか選択できない。
  • ・もし保有している財産の価額が大きい場合にはその金額が返済金額になるので、返済額が大きくなります。
  • ・手続きが難解であるため、法律家の関与が必要なことが多く、他の手続きに比べて費用が多くかかる。
  • ・手続きに要する時間が比較的長くかかります。
自己破産

裁判所に申立を行い、申告した債務について支払義務が免除される(免責)という手続きです。

一定金額以上の資産(不動産・自動車・保険解約返戻金・退職金・有価証券など)を持っている方は、その資産を手放し、債権者へ分配した後に残債務に対して、支払義務が免除されます。
ただし、借入れの理由がギャンブルや豪遊などによる場合には、申立自体ができない可能性がありますのでご注意ください。

手続きの流れ

① 債権調査完了後の相談

債務額特定までは、任意整理の①~③までと同じです。
債権調査完了後に方針を協議し、支払いが困難な場合、自己破産の手続きに移ります。

② 自己破産申立書の記載

申立に必要な書類をそろえていただきます。また、申立書に記載が必要な事項についても聞き取りをさせていただきます。

③ 自己破産申立(同時廃止の場合)

裁判所に自己破産の申立てをします。

④ 破産手続開始決定

めぼしい財産が無い場合、開始決定と同時に破産手続きを廃止するとの決定がでます。

⑤ 免責決定

⑥ 官報に公告

⑦ 免責確定

免責が確定することにより、債務の支払い義務がなくなります。

メリット
  • ・借金を返済しなくてよくなるため、経済的に再出発することができます。
  • ・取り立てもなくなります。
※戸籍や住民票に記載されるようなことはありません。また、選挙権がなくなることもありません。
デメリット
  • ・他の手続きと同様、事故情報になってしまい、今後数年間は借入ができなくなる。
  • ・価値の大きい財産は換価処分が必要です。
  • ・債権者から保証人に請求がなされます。
  • 一度免責を受けると、その後7年間は再度の免責を受けることができません。
  • ・ 保険の外交員や警備員など、資格で他人の財産を預かるような仕事をしている場合には、
      その仕事が続けられなくなることがあります。